vol.036【レポート】エクスチェンジプログラムvol.2 国立国際美術館×大阪中之島美術館コレクションをめぐるナイトミュージアムツアー&トーク

開催日時:2024年11月23日(土・祝)16:00~20:00 (受付14:00~18:10)
会場:国立国際美術館、大阪中之島美術館
定員:30名
登壇者:安來正博(国立国際美術館 研究員)、高柳有紀子(大阪中之島美術館 主任学芸員)
トーク聞き手:橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長)

中之島に隣接して建つ2つの美術館、国立国際美術館と大阪中之島美術館が、同時期にコレクションをテーマとした企画展をそれぞれ開催していることにちなみ、11 月23 日、両館の担当学芸員によるギャラリーツアーとトークが開催されました。

大阪中之島美術館でのギャラリーツアーの様子  撮影:仲川あい

はじめに、大阪中之島美術館で開催中の「開館3 周年記念特別展TRIO パリ・東京・大阪モダンアート・コレクション」展を見学。パリ市立近代美術館、東京国立近代美術館、大阪中之島美術館のコレクションから、テーマに沿った作品を1 点ずつ選び”トリオ”で展示するというユニークな企画について、担当学芸員である筆者が、企画の意図やトリオができるまでの経緯にも触れながら案内しました。次に、国立国際美術館に移動し、「特別展線表現の可能性」を安來正博研究員の案内で見学。絵画、版画、写真、彫刻など多様なジャンルの作品を前に、”線”という視点からとらえたときに浮かび上がる表現の多彩さや豊かさについて解説がなされました。

国立国際美術館でのギャラリーツアーの様子  撮影:仲川あい

2つのコレクション展を見学した後、国立国際美術館講堂に場を移し、聞き手に橋爪勇介氏(ウェブ版「美術手帖」編集長)を迎えて、安來研究員と筆者によるトークが行われました。国立国際美術館と大阪中之島美術館のコレクション形成史やポリシーについての説明を皮切りに、美術館にどのような手続きを経て作品が収集されるのか、購入予算を見据えた作品選択のプロセスなど、普段あまり語られることがない美術館の内情にも踏み込んだトークが展開されました。また、コロナ禍で企画展の開催が会期途中で中止となったり、開催自体が見送りとなったりした時期を経て、各美術館が一層コレクションの活用を重視し、その発信に力を入れている現状について語られました。

左:安來正博(国立国際美術館 研究員)、中央:高柳有紀子(大阪中之島美術館 主任学芸員)、右:橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長)
撮影:仲川あい
トークの様子  撮影:仲川あい

欧米に比べ、日本では企画展を目当てに来館する人々が圧倒的に多く、コレクションについての関心が高いとは言えない状況にありますが、本イベントでは、コレクションが美術館の根幹であり、活動の基となる最も重要な要素であることが具体例をもって語られ、参加者の理解と興味も深まった様子でした。

高柳有紀子(大阪中之島美術館主任学芸員)

委託:令和6年度日本博2.0 事業(委託型)
主催:クリエイティブアイランド中之島実行委員会、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁、大阪中之島美術館、国立国際美術館
共催:中之島パビリオンフェスティバル2025